経費精算の領収書で但し書きを「お品代」にリスク

経費精算の領収書で但し書きを「お品代」にリスク

領収書を受け取った時、但し書き(宛名の下などに記載される、支払いの内容を示す一文)が「お品代として」となっているのを見たことは、ないでしょうか。結論から言うと、「お品代」という但し書きだけでは、経費精算において、リスクが残ります。

この記事では、「お品代」がなぜリスクになるのか、インボイス制度(消費税の仕入税額控除を受けるための、新しい請求書のルール)との関係、そして実務でどう対処すればよいのかを、具体的に解説します。

「お品代」表記が抱える3つのリスク
図1:「お品代」表記が抱える3つのリスク

お品代がリスクになる理由

「お品代として」という但し書きは、何を購入したのか、まったくわかりません。この情報の欠如が、経費精算において、次の3つのリスクを生みます。

  1. 経費として否認されるリスク
  2. インボイス制度上、必要な記載要件を満たせないリスク
  3. 私的な支出を紛れ込ませていると、疑われるリスク
結論:「お品代」という表記自体が、違法というわけではありません。しかし、取引内容を証明する力が弱いため、税務調査で指摘を受けやすい表記だと言えます。

経費として否認されるリスク

経費として認められるためには、その支出が、事業に関連していることを、説明できる必要があります。「お品代として」だけでは、購入した商品が、事業用の消耗品なのか、私的な買い物なのか、判別できません。

税務調査の場面では、調査官から、「これは何を購入したものですか」と、質問されることがあります。この時、領収書だけでは答えられず、記憶にも残っていない場合、経費として認められない可能性が高まります。

内容が不明な領収書のリスク
図2:内容が不明な領収書のリスク

インボイス制度上のリスク

2023年から始まったインボイス制度では、仕入税額控除を受けるために、請求書や領収書に、次の5つの記載事項が必要とされています。

記載事項「お品代」表記での対応状況
発行者の氏名または名称通常は記載あり
取引年月日通常は記載あり
取引内容「お品代」では不十分になりやすい
税率ごとに区分した合計金額記載がない場合も多い
登録番号インボイス発行事業者でなければ記載なし

「取引内容」の欄が「お品代」のままでは、何を購入したのか、書類上わからないままです。インボイス制度では、この取引内容の記載が、控除を受けるための要件の1つになっています。曖昧な記載のままでは、仕入税額控除が認められない可能性があります。

ポイント:インボイス制度が始まってから、「お品代」という但し書きは、以前よりもリスクが高い表記になりました。取引内容を具体的に記載してもらうことが、これまで以上に重要です。

私的流用を疑われるリスク

「お品代」という表記は、悪意がなくても、私的な支出を紛れ込ませやすい、という側面もあります。実際に、内容の書かれていない領収書を悪用し、私的な買い物を経費として申請する、という不正も報告されています。

そのため、経理担当者や税務署は、「お品代」表記の領収書に対して、より慎重にチェックする傾向があります。正当な支出であっても、表記が曖昧なだけで、疑いの目を向けられてしまう。これは、申請する側にとって、もったいないことです。

具体的な記載と曖昧な記載の比較
図3:具体的な記載と曖昧な記載の比較

実務での対処法

では、「お品代」表記のリスクを避けるために、どう対処すればよいのでしょうか。実務で使える、具体的な方法を紹介します。

1. 発行時に、具体的な品目を書いてもらう

領収書を発行してもらう際に、「お品代ではなく、購入した商品名を書いてください」と、一言添えるだけで、多くの場合は対応してもらえます。手間はかかりますが、最も確実な方法です。

2. レシートを、あわせて保管する

領収書とは別に、レシートを受け取れる場合は、あわせて保管しておきましょう。レシートには、購入した商品名が具体的に印字されています。領収書の内容を補完する、証拠書類として活用できます。

3. 領収書に、自分でメモを書き加える

受け取った直後に、余白へ「打ち合わせ用の飲料代」「事務用品の購入」など、具体的な内容をメモしておく方法もあります。あとから見返した時に、内容を思い出せるようにしておくことが大切です。

実務での視点:筆者が経理の現場でおすすめしているのは、「受け取ったその場で、スマートフォンのメモに一言残す」という習慣です。数秒でできる作業ですが、数カ月後に見返した時の安心感が、まったく違います。

「お品代」でも問題になりにくいケース

一方で、「お品代」という表記でも、大きな問題にならないケースもあります。

ただし、これらのケースでも、明確に記載しておくに越したことはありません。念のための備えとして、できる範囲で、具体的な記載を心がけましょう。

まとめ:一手間が、あとの安心につながる

「お品代」という但し書きは、違法ではありません。しかし、経費として否認されるリスクや、インボイス制度上の要件を満たせないリスクを、抱えています。

領収書を受け取る時に、具体的な品目を書いてもらう。あるいは、レシートやメモで内容を補完する。こうした、ほんの一手間が、税務調査の際の大きな安心につながります。日頃から、この習慣を意識しておきましょう。

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